矯正治療の大きな流れ
大きな流れとしては、(第Ⅰ期治療)→(再評価)→(第Ⅱ期治療)の3Stepになります。
(第Ⅰ期治療)→顎の発育期(~12・13歳頃までです.。)
(再評価)→顎が充分発育したか?を再検討する時期です。抜歯か?ディスキングか?
大学への紹介か?検討します。
(第Ⅱ期治療)→歯を並べる期間 の3Stepになります。
① (第Ⅰ期治療)この時期は、矯正装置により発育を補助する期間です。
(歯の生える場所と、下の顎が自由に動かせて食事がしやすい様に、かみ合わせを作ります。)
② (再評価)中学生の時期に上顎の成長が、90%完成したします。
12歳以降は、下顎の前方への発育が、盛んになります。(受け口になる可能性が高くなり、受け口になるのはこの時期です。)
*基本的には、西村歯科医院は、発育を促す矯正を中心にしていますので抜歯をしない矯正が主体です。しかし、抜歯矯正が必要な発育をする場合もあり、その時は、大学へご紹介をいたします。また、外科(顔の手術)矯正の必要性についても、その必要性が予見できた時点でご説明致します。その場合は、高校生まで待って、「保険適用の外科矯正」になる場合もあります。(顎変形症の診査も、併せて行います。)
その時の治療費の返還は、ある程度改善している場合が多く、治療費の返金はありません。
③ (第Ⅱ期治療)中学生以降 歯を並べる期間・成長期終了後 永久歯を並べる様になります。
(ここからは、具体的に説明致します。)
(第Ⅰ期治療)
1、場所の確保
永久歯が全て生える為の場所を確保致します。
上下顎の発育不足が考えられますので、上下顎骨の「発育を促す」装置が必要になります。最初に使用する矯正装置は、「ビムラー矯正装置」です。他に、使用する装置は、
「RME装置」「家でのみのフェイシャルマスク」 T4K 「ブラケット装置」「上下顎3DL」「床(しょう)矯正装置」です。この装置は、発育期のお子さんの顎の発育を支援と場所を確保するために効果的に働きます。最初の1ヵ月間は、装置の効果確認が必要なため、2~3週間に一度調整が必要ですが、その後は、装置が順調であれば、清掃・調整のため、一ヶ月に一度の来院になります。
また、この時期は、色々な装置が使用できる時期でもあり、この事が、成長期の矯正の最大のメリット(利点)になります。
2、全ての永久歯が生えるのを待つ時間
永久歯が生える場所が確保された後は、歯の生えるのを待つ時期となります。
この時期は、乳歯の抜歯をしながら、比較的期間が長期になりますので、
上下顎に「3DL装置」又は「ビムラー矯正装置」を使用し、永久歯の生える場所の確保をする事になります。
この期間は、2~3ヵ月に一度来院になります。
(ここでは、むし歯になり易いか?診断し来院間隔を決めていきます。歯ブラシが、しっかり出来ていれば、来院間隔は、長くなりますし、また逆に歯ブラシが不十分な時は、むし歯になりやすい為 来院間隔が短くなります。
歯ブラシを、しっかりしましょう!歯科医院でも、歯ブラシ指導をしていく予定です。)
この間に、歯の位置異常がある場合は、ブラケット装置をセットし、毎月清掃と調整のため来院をします。
(再評価) 12~13歳前後(又は、12歳臼歯 7番が生え始める時期)
全ての永久歯が生える12歳頃に、「全ての歯が生える場所」が確保できたか?
の再評価を行います。この時期に、抜歯をして並べるか?抜歯をしないで並べるか?の再評価をします。西村歯科医院では、90%以上が、抜歯をしない矯正をしています。
また、唇が閉じられるか?どうかで、抜歯を検討致します。必要の場合は、患者のQOL低下を考えると、抜歯が必要な場合は、抜歯をします。親知らず歯は、抜歯する場合が多いです。
*一卵性双生児のお子さんでも、歯の動きが違う様に、体質・生活習慣等、個人個人顎の成長が違います。(将来の顎の成長を予測する事は、非常に難しく、治療計画の変更もある事をご理解の上、矯正を始めて下さい。)ブラケット治療が必要か?又は、抜歯が必要か?ディスキングが必要か?の診査をこの時期に行い、ご説明を致します。
(第Ⅱ期治療)
3、歯を並べる
再評価後、顎の発育が不十分であり、抜歯が必要であれば、保護者の方にご説明をし抜歯をする場合があります。抜歯を希望されない場合は、80%位(生活に支障のない程度)を目標に歯並びを改善する様になります。その後に、最終仕上げとして、ブラケット装置による最終仕上げをする事になります。この時期は、むし歯になりやすい為、毎月調整、清掃が必要になります。
4、後戻り防止
そして、最終的に歯が綺麗に並んだ後は、後戻り防止装置を装着します。
装着後1~4ヶ月ごと来院になります。最後の後戻り防止の期間が一番長いとお考え下さい。
矯正で、一番難しいのは、実は後戻り防止の対策なのです。
これは、年齢とともに歯並びが変化するからです。
*ここで、矯正の後戻りについてお話し致します。
無事 矯正が終了した場合でも、少し後戻りがするのは事実です。これは人間の老化現象があるように、人の体の「仕組(しくみ)」として、新陳代謝があるからです。10代には10代の歯並び、20代には20代の歯並びがあるように、年齢と共に、歯並びもそれにあった歯並びになってくるからです。これは避けられません。また、身体全体のバランスのとれたところに歯並びが並ぶように多少変化するからです。
そのため、多少 後戻りすることは避けられません。しかし、一生懸命 矯正した歯が元に戻るのは残念なことです。西村歯科では、できるだけその後戻りが少なくなるようにリテーナー(後戻り防止装置)をして頂きます。これにより多くても一割くらいの範囲内での後戻りになるようにできるのです。また、態癖、歯ぎしり、使い方によりリテーナーは劣化(古く)なりますので、その時は、リテーナーを作り変えることで対応が出来ます。矯正終了後、後戻り装置使用の仕方について(後戻り防止装置をリテーナーと呼びます。)最初の1年間は1日中装着し、その後 家にいる時のみ1年間使用し、その後は夜のみ使用としていきます。装置に違和感がなくなれば、経過観察となります。また、この「後戻り」の最大の原因は、態癖です。態癖は、身体の姿勢も悪くなる為、充分に注意し早めに辞める様に注意しましょう。下の写真は、態癖による歯並び後戻り(左)と態癖による姿勢の傾いたお子さん(右)です。
*態癖について(たいへき=悪習慣)
態癖があると、矯正が思わぬ方向に歯が移動する事や姿勢が悪くなる原因になります。改善する様に注意しましょう。(西村歯科医院でも指導致しますが、ご両親のご指導もお願い致します。)
西村歯科に訪れた患者さんのケースです。
生年月日 平成〇〇年2月17日 7歳5か月 男性(小学2年生)
(* 矯正治療説明書の有効期限は、歯根状況により変化する為、4ヶ月間となります。)
(症状、患者さんの主訴について)
① R2年秋ごろに、上顎左右乳歯の乳側切歯が抜けてから、歯が生えて来ない。
砂金佑奈さんと同級生です。
診断名
①上顎前歯スペース不足による永久歯萌出遅延の疑い及び
②下顎が、左側に偏位している状態
③永久歯も、4本先天性欠如が見られます。
④上顎左側第一大臼歯が埋伏の可能性があります。