子どもの矯正治療で「抜歯をしない」方針(非抜歯矯正)には、いくつかの明確なメリットがあります。以下に、専門医の立場からわかりやすく説明します。
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🦷 抜歯をしない矯正の主なメリット

① 顔のバランス・自然な成長を保ちやすい
抜歯をすると、歯列を後方に引く必要があるため、唇が下がって口元が平たく見えることがあります。
非抜歯矯正では歯を抜かずに顎の成長をうながすことで歯を並べるため、
・自然な口元
・調和のとれた横顔
を保ちやすくなります。
③ 永久歯をすべて残せる安心感
永久歯を抜かないので、
・将来的に歯の本数が減らない
・歯の寿命を全体として延ばせる
・抜歯による痛みや不安がない
という心理的・身体的なメリットがあります。
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④ 歯列の安定性が高い傾向
非抜歯の場合、歯の並びを「自然な顎の大きさ」に合わせて整えるため、
・後戻りしにくい
・保定(リテーナー)の負担が軽くなる
ケースも多く見られます。
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⑤ 成長に合わせて治療を調整できる柔軟性
成長を見ながら段階的に進めるため、
・治療中に顎の成長や歯の萌出状態を見て微調整
・将来的な噛み合わせのトラブルを予防
といった長期的な安定性にもつながります。
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⚠️ ただし注意点もあります
・顎の成長力が少ない場合
・歯が非常に大きい場合
・前突(出っ歯)が強い場合
には、非抜歯が難しいこともあります。
→ **「成長予測」と「顎のバランス診断」**が非常に大切です。
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② 成長期の顎の発育を最大限に生かせる
子どもの矯正では、まだ顎の骨が成長中です。
この時期に「顎の成長誘導装置」などを使うことで、
・歯を抜かずにスペースを確保
・正しい噛み合わせの育成
が可能になります。
→ 成長期ならではの“治せる力”を活かせるのが大きな利点です。
「小学生・中学生それぞれの理想的な開始時期」についても詳しく説明します。
まず「非抜歯矯正が向いているケース・向いていないケース」を整理し、
そのあとに「年齢別(小学生・中学生)の理想的な開始時期」を解説します。
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🦷 非抜歯矯正が向いているケース
以下のような条件がある場合は、抜歯せずにきれいに整えることが可能です。
✅ 向いているケース
1. 顎の成長力が十分ある子ども
→ 成長期にあるため、装置で顎の幅や長さを自然に広げることができます。
(特に小学生~思春期前が有利)
2. 歯と顎の大きさのバランスが取れている
→ 歯がやや大きくても、拡大や歯の傾斜調整で並べられる範囲。
3. 軽度〜中等度の叢生(がたつき)
→ 歯並びの乱れがそれほど強くない場合。
4. 出っ歯・受け口が“骨格的”に重度でない場合
→ 骨のズレが小さいなら、顎の成長誘導で改善が見込めます。
5. 早期(乳歯・混合歯列期)に発見された場合
→ 永久歯が生えそろう前に始めることで、抜歯の必要がほぼなくなります。
⚠️ 非抜歯が難しいケース
以下のような場合は、非抜歯での改善が困難なことがあります。
❌ 向いていないケース
1. 顎が小さく、成長もあまり期待できない年齢
→ 特に中高生以降では骨の成長が止まり、拡大が難しくなります。
2. 歯が非常に大きく、がたつきが強い
→ 物理的にスペースが足りないため、抜歯で調整が必要。
3. 骨格的な出っ歯・受け口(上下顎の前後差が大きい)
→ 骨の位置の問題なので、歯だけで調整するのは限界があります。
4. 唇の突出が強く、口が閉じにくい
→ 非抜歯で前歯を並べると、さらに口元が出てしまうリスクがあります。
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🧒 年齢別の理想的な開始時期
👶 小学生(6〜10歳ごろ)
👉 最も理想的な開始時期です。
この時期は「混合歯列期(乳歯と永久歯が混ざる時期)」であり、
・顎の成長をコントロールできる
・永久歯が生えるスペースを確保できる
・癖(口呼吸、舌癖など)の改善もしやすい
という大きな利点があります。
→ 非抜歯で整えるチャンスが最大です。
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👦 中学生(11〜14歳ごろ)
・成長がまだ残っている場合は、非抜歯矯正も十分可能です。
・ただし、成長が早く終わる子(特に女子)は、早めの判断が重要です。
→ 成長期の終わりごろに「あと少し拡げられるか」がカギになります。
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🧑 高校生以降
・骨の成長がほぼ止まっているため、拡大装置の効果が限定的になります。
・がたつきが強い場合は抜歯が必要になることもあります。
→ ただし、軽度の不正や前歯の傾き調整であれば非抜歯も可能です。
🩺 まとめ
項目 非抜歯矯正が有利な場合
年齢 小学生(混合歯列期)
顎の成長 成長力が十分ある
歯の状態 軽〜中程度のがたつき
骨格のバランス 大きなズレがない
目的 顎の成長誘導・歯列拡大・予防的治療
この4点を教えていただければ、
お子さんが「抜歯しない矯正に向いているか」を、
できるだけ具体的にお伝えします。
① お子さんの年齢と性別
(例:10歳・女の子)
② 歯並びや噛み合わせで気になるところ
(例:「上の前歯が出ている」「下の歯がデコボコ」「受け口っぽい」など)
③ お口の癖や生活習慣
(例:口を開けていることが多い・口呼吸・指しゃぶり・舌を前に出す癖 など)
④ 家族に似た歯並びや顎の特徴
(例:「お母さんも出っ歯気味」「お父さんが下顎が出ている」など)
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では、例として教えていただいた内容をもとに、非抜歯矯正の可能性を解説します。
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お子さんの状況(例)
• 年齢・性別:10歳・女の子
• 歯並び:上の前歯が出ている、下の歯が少しガタガタ
• 口の癖:口呼吸が多く、寝ているときに口が開いている
• 家族歴:母が少し出っ歯、父は普通
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🦷 非抜歯矯正の可能性
1. 年齢が10歳で混合歯列期
- 顎の骨がまだ成長しているため、拡大装置や成長誘導装置を使って歯列を整えることが可能。
- 永久歯が生え揃う前にスペースを確保できるため、抜歯の必要性は低くなるケースが多いです。
2. 上顎前歯の突出と下顎ガタガタ
- 前歯の突出は、顎の成長誘導で改善が可能。
- 下の歯のデコボコも、顎の成長や拡大で整列できる可能性があります。
3. 口呼吸や口元の癖の改善
- 舌や唇のトレーニングを並行すると、前歯が前に出るのを防ぎやすくなります。
- 歯並びだけでなく、口腔機能の改善も含めた矯正が効果的です。
4. 家族歴による影響
- 母親が少し出っ歯の場合、骨格的な傾向もありますが、成長期なら非抜歯で十分対応できる可能性があります。
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💡 治療の流れ(非抜歯の場合の例)
1. 拡大装置や成長誘導装置で顎を広げる
2. 歯が生えるスペースを確保して並べる
3. 前歯の傾きを調整し口元のバランスを整える
4. 必要に応じて舌や唇のトレーニングを行う
5. 永久歯が全て生え揃ったら、ワイヤー矯正などで最終調整
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✅ まとめ
• この年齢・歯並び・成長状況であれば、抜歯せずに矯正できる可能性は高いです。
• 口元のバランスや顎の成長を活かすことで、自然で安定した歯並びが期待できます。
• 口呼吸や癖の改善を併せると、治療後の後戻りも少なくなります。
では、10歳前後のお子さんを例に、**非抜歯矯正の治療スケジュール(年齢別・期間目安)**をまとめます。
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🦷 非抜歯矯正の年齢別治療スケジュール(例)
1. 6〜10歳(混合歯列期・小学生前半〜中盤)
目的:顎の成長誘導・永久歯が生えるスペース確保
使用装置:拡大床、上顎前方牽引装置、マウスピース型の顎拡大装置
期間の目安:6〜12か月程度(個人差あり)
内容:
• 顎の幅を広げて歯のスペースを確保
• 上下顎のバランスを整え、前歯の突出を改善
• 口呼吸や舌癖の改善トレーニング開始
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2. 10〜12歳(永久歯への交換期・小学生後半〜中学生初期)
目的:永久歯の並びの最終調整
使用装置:ワイヤー矯正(軽度の調整)、リテーナー
期間の目安:12〜18か月程度
内容:
• 永久歯が生えそろうにつれて、ワイヤーやマウスピースで細かい並びを整える
• 前歯の傾斜や噛み合わせの調整
• 引き続き口腔習慣の改善
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3. 12〜14歳(思春期・顎の成長後期)
目的:仕上げ・咬合の安定
使用装置:ワイヤー矯正、固定リテーナー
期間の目安:6〜12か月程度
内容:
• 前歯の微調整、噛み合わせの最終確認
• 治療後のリテーナー装着で歯列を安定させる
• 口呼吸や舌癖が残る場合は、併せてトレーニング
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4. 治療終了後(中学生以降)
• 夜間リテーナーを数年間使用して後戻り防止
• 顎の成長が止まった後でも、軽度の微調整は可能
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💡 ポイントまとめ
• 非抜歯矯正は成長期に始めるほど効果的
• 拡大装置でスペースを作り、永久歯が生え揃ったら微調整
• 口腔習慣の改善を並行すると後戻りが少なくなる
• 小学生〜中学生で始めれば、抜歯せず自然な歯並びが作りやすい
以上です。他に疑問な点があれば、分かりやすく説明します。
西村歯科医院 西村 真






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