こども小児矯正について
「歯の発育」と「顎の発育」は、別のものです。歯は、独自に歯肉の中で完成すれば生えてきます。しかし、それを受け入れる顎の発育が遅れていると歯の生える場所が狭く重なってしまいます。つまり、歯は6才頃に生えてきますが、4才位の顎の発育しかしていない場合は、顎が小さく歯が重なってしまうのです。
この2年間の差を埋るのは、日常生活で至難の業(しなんのわざ)。この「歯の発育」に「顎の発育」を追い付かせるために、「矯正装置」と「鼻呼吸」を指導して、「顎の発育」を促すことが、発育矯正なのです。
現在、噛み合せの治療のため機能矯正をしています。この装置は、従来より行われてきたブラケット(歯の表に金属ボタン様装置を付ける)矯正を可能な限り回避できる歯列矯正になります。従来のブラケット装置は、歯を抜く、話しづらい、むし歯になり易い、痛むなどの症状以外に、子供の「心の負担」が大きい矯正でした。この症状を可能な限り回避するために、ヨーロッパでは、60年以上前から行われている歯列矯正になります。この歯列矯正の利点は、『目立たない』『歯列(顎)の育成が出来る』『虫歯になりにくい』『鼻閉の改善』等の数々の利点があります。しかしその反面、最初の1~2週間は、従来の歯並びが悪い時の咬み合せを正しい咬み合わせに誘導するため、給食時食事が遅くなる、食べれないものがでてくる、発音がしずらい、という不都合な場面がある場合もあります。そのため、国語・英語の音読・音楽その他の時に、支障を来す事が考えられます。この点につきまして、御配慮を宜しくお願い致します。
この機能矯正装置は、成長期に用いる事で、歯を抜かずに『歯並び』と『噛み合せ』を治す事が可能となります。そして、子供の「心の負担」を軽減する事が可能となります。
近年、軟らかくあまり噛まずに食べられる食生活によって、顎の骨がしっかり成長しなくなってきています。そのため、歯の並ぶスペースがなくなり、歯列不正は増加してきています。
歯列不正は、見た目ばかりではなく、噛む能力が劣り、発音にも障害を及ぼします。汚れがたまり易く、 プラークも落としづらいため、虫歯になり易く、歯周病(歯周疾患)にもかかりやすくなります。お年寄りには歯並びの悪い人が、見られないのは、歯列不正部分が虫歯や歯周病(歯周疾患)で早期に抜歯されてしまったからです。自分の歯で噛み続けることで、ボケ防止の他、病気にもかかりにくくなる事が明らかになっています。
大人になってからの歯列矯正では費用も期間もかかる上、多くは抜歯しての治療となり、辛い思いも避けられず大変です。(噛み合せが変わることで、頭痛や肩こりが出る事もあります。)成長期に抜歯せずに、歯並びを整えることは、虫歯予防、歯周炎予防のみならず、口元ばかりか顔の形も整える事ができます。
ヨーロッパで発展してきたこの『機能矯正治療』は、宮城県ではまだごく一部の歯科医院でしか施術出来ません。学校歯科検診で指摘される場合も想定されます。その点につきましても合わせてご配慮をお願い致します。心配な場合は、西村歯科医院にご相談ください。
何卒、この子の為のみならず、周囲の子の思いやりの気持ちを育むためにも、
ご理解とご協力をお願い致します。
患者名 〇〇様
生年月日 平成〇〇年5月31日 8歳3か月 男性
(* 矯正治療説明書の有効期限は、歯根状況により変化する為、4ヶ月間となります。)
(症状、患者さんの主訴について)
①上顎右側中切歯が斜めに生えてきた。
②下顎左右側犬歯の生える場所が不足している。

(これまでの経過)
〇〇歯科で相談。顎を拡げる矯正が必要ですが、当院ではしていないので、2~3年経過を診ますとの事。上下顎の歯を抜いて、並べますと説明を受けました。歯並びが、もっと悪くなる前に何かできないか?と思い西村歯科を受診。
顎の成長は上顎の大きさで決まります。
この上顎の成長は小学校6年生までに80%終了し、中学校から成人までほとんど成長しません。(20%は成長しますが…)
つまり、小学校1年生で大人の歯が生え始め、小学校6年生までの間に、大人の歯12本が全て生えるように顎を成長させなければなりません。
小学校2年生で前歯4本が重なっていれば、途中経過で顎の成長が遅れ気味という症状が出ていると考えてください。
大人の歯(永久歯)は、こどもの歯(乳歯)の2倍の大きさがあります。
小学校1年生~6年生までの6年間に、約2倍の顎にせいちょうさせなければいけません。
現代のこどもたちは、その顎の成長に適した食事、生活環境にないことは、学校検診で約40%の不正咬合が発症していることからも明らかです。
私は以上の理由から、矯正装置を使用し、口の中を刺激して顎を成長させなければ不正咬合は改善しないと考えています。
西村歯科医院
院長 西村 真

顎の発育が不充分で、歯が並ばないのか?歯が大きくて、歯が並ばないのか?の問題です。
先ず、こどもの時期は、顎の発育を充分させましょう。その上で、成長が終了した時点に、抜歯をするか?検討しましょう。顎の発育不足と捉えましょう。